その他航空メーカー
 第二次世界大戦時に、他国で軍用機の設計・生産されていたメーカーを集めました。そのほとんどは、戦争勃発の必要性をに駆られて慌てて国産軍用機を開発(ほとんどが有名な戦闘機のコピー)したものであり、生産された機体をみるとその慌てぶりが見られます。またフォッカー社のように、第一次世界大戦ではドイツの会社であったのが、第二次世界大戦前にオランダへ移管していたメーカーもあります。カナダのように英米機等のライセンス生産のみしていたメーカーは省いています。

フォッカー社 [オランダ]
 インドネシア生まれのオランダ人アントニー・フォッカーが1910年にドイツのベルリンに設立。第一次世界大戦時には、リヒトフォーフェンの愛機とて知られるロッカーDr.I、連合軍が恐れたフォッカー D.VII等のドイツ戦闘機を設計・生産。
 しかし、ドイツの敗戦後、航空全面禁止となって航空機製造が困難になると、アントニー・フォッカーは密かに数機のD.VII 機をドイツから母国オランダへ送付して亡命に成功。そこで新たに航空工場を立ち上げることに成功し1919年にオランダに新しいフォッカー社を設立。中でもD21は、世界規模の市場で好評を得て、フィンランドなどの航空後進国の貴重な戦闘機として活躍した。
 第二次世界大戦勃発によって、早々にオランダがドイツ占領下になり一時的に生産及び開発の停止を余儀なくされるが、1945年の終戦後、フォッカー社は活動を再開し、旅客機F27フレンドシップなどを開発・生産するが1996年倒産。
≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・B.I(複葉飛行艇)
    ・D21(単葉戦闘機)
    ・D23(双発タンデム戦闘機)
    ・G.T(双発爆撃機)
≪主要な機種/第二次大戦後≫
    ・F27フレンドシップ(ジェット旅客機)
    ・F28フェローシップ(ジェット旅客機)

 

PZL(ポーランド国立航空廠)社 [ポーランド]
 第一次世界大戦前から隣国ドイツの領土侵略に危機を感じ続けていたポーランドの国営航空会社。エンジン製作の技術が高くなくイギリス製エンジン(ブリスターやマーキュリー)、もしくはそのコピーエンジン(PZLスコダ)を使用しているが、機体設計はしっかりオリジナルを設計している。PZL-11戦闘機はルーマニア空軍等にも出荷されている。第二次世界大戦勃発時には、ドイツ機と比べるとやはり性能面で劣り、ドイツの電撃作戦にあえなく惨敗し、メーカー摂取された。
 戦後、元の国営航空会社が復活され、ターボフロップ練習機PZL130、多用途スポーツ機PZL104などを生産している。また冷戦時代には、ソ連の傀儡を受け、PZL-ミェレツ、PZL-シフィドニクという二社に分かれ、ソ連製航空機やヘリコプターの製造もしている。

≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・PZL11(パラソル翼戦闘機)
    ・PZL23(単葉爆撃機)

≪主要な機種/第二次大戦後≫
    ・PZL130オルリク(単葉練習機)
    ・PZL104ヴィルガ(高翼多用途機)


I.A.R社 [ルーマニア]
 IARとはインダストリア・エアロネィテカ・ローマーナの略。第二次世界大戦ルーマニア政府の自国製航空機産業の創設に応えた形で設立された半民営化航空機メーカー。当時、ライセンス生産を行っていたポーランド製PZL-11戦闘機の後継機として、国内開発・生産したIAR80戦闘機シリーズなとを生み出した。このI.A.R.80/81は枢軸国空軍の一翼を担い、ウクライナ上空で戦闘・戦闘爆撃機としてソ連軍と戦い、次いで戦況の悪化に伴い自国上空の防空任務に付き連合軍と戦い(プロエスティ油田上空の戦闘が有名)、 1944年の休戦後はドイツ軍との義務的な戦闘も行っている。
 また、戦後生き残った機体は副座練習機に改造され、最後の機体は1952年まで使用されている。
≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・I.A.R80(単葉戦闘機)
    ・I.A.R81(単葉戦闘機)
 

SAAB(サーブ)社 [スウェーデン]
 Svenska Aeri AB(スウェーデン航空株式会社、後にSVenska Aeroplan AB/スウェーデン航空機株式会社と改名)。
 第二次世界大戦時には中立国を貫き通したスウェーデンの航空会社。自国の中立性を保つためにも戦闘機の国産化を進める必用があるとの認識からJ21Aなど斬新的な設計を行ったのが特徴。
 戦後もドラケンなどのジェット戦闘機を生産しつつ、民需転換を進める中で自動車産業市場に参入し現在に至る。

≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・J21A(双発戦闘爆撃機)
≪主要な機種/第二次大戦後≫
    ・35ドラケン(ジェット戦闘機)
    ・37ビゲン(ジェット戦闘機)
    ・39グリペン(ジェット戦闘機)

FFVS社 [スウェーデン]
 第二次世界大戦勃発により中立国を保つため自国製軍用機配備が必要となり、SAABとともに急遽設立された国営の航空庁国立工場の事。
 米国のプラット&ホイットニー・ツインワプスのコピーエンジンを搭載し、J22技術者ルンドベリが設計したJ22戦闘機を生産した。

≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・J22(単葉戦闘機)

LV社 [フィンランド]
 Valtion Lentokonetehdas(フィンランド国立航空機工場)の略。対ソ連との冬戦争にて国営生産の必要性を感じ、ミルスキ、ピョレミルスキという機体の独自開発・生産をおこなった。

≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・ミルスキー(単葉戦闘機)
    ・ピョレミルスキー(単葉戦闘機)

CAC(コモンウェルス)社 [オーストラリア]
 CACとはCommonwealth Aircraft Corporationの略であり、第二次世界大戦勃発時に設立したオーストラリア国営航空会社である。 第二次世界大戦勃発時にイギリス連邦国防の必要に駆られて、米国のノースアメリカンNA-16練習機をベースにして開発されたCA-13ブーメランを戦闘機として開発。しかし低速で運動性も低く、地上攻撃用の軽爆撃機として使用された機体を生産した。

≪主要な機種/第二次大戦時≫
    ・CA-13(単葉戦闘爆撃機)