前回のコラムの締め括り時に思いついた用語の意味を整理しま〜す。
まず、やっぱ、軍用機を語る上ではその機体の性能って重要ですよね。でもって、これまでにも奇想天外機コーナーでも度々語っていたんですが、軍用機開発は政府や軍に対する要求に応えなきゃ行けないんですね。軍用機であるが上に運用しやすいっていう大前提もあるのはもちろんです。国によってはかなり細かな要求性能の数値を示している事があります。でも大抵は、特定任務に対する高性能化、及び、○○○の後継機って感じの設計要求です。
では、具体的に、第二次世界大戦時に供給された軍用機任務を、ちょっと整理しておくって事で、箇条書きにしてみますが、どっさり書くと読むのも億劫になるから、今回は戦闘機任務だけにしぼって書きます。
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主力戦闘機 |
敵戦闘機を蹴散らし、敵爆撃機等を撃破し、時には味方機を護衛する為の戦闘機用途全般ですね。特に対戦闘機能力が重要視され、かつ、高い生産性も必要ですし、丈夫だと修理しやすさとかの運用上にも文句無い機体であるべきです。年々の言い方なら制空戦闘機と呼ばれてます。当時ならP-51D型以降のムスタングがナンバーワンでは無いでしょうか。スピットファイアとBf109もバージョンアップによって主力戦闘機であり続けた優秀な機体でした。 |
護衛戦闘機 |
主に味方爆撃機等を護衛する為に特化した戦闘機。敵戦闘機を蹴散らす能力も必要ですが、味方爆撃機と行動を共に出来る航続力や高空性能も重要ですね。大戦初期までに各国で競って開発された双発戦闘機(Bf110や二式複座戦闘機屠龍、イタリアのSM.34等)はこの任務機として期待されましたが実戦で不合格でした。同時代の機体ではP-38ライトニングが唯一合格ギリギリかな。大戦後半になってくるとP-47DやP-51Dっていう優れた単発護衛戦闘機も登場しました。 |
高々度戦闘機 |
大戦が長引くにつれ爆撃も性能が上がってきます。特に一般の戦闘機が上昇して来れない高々度を飛行出来るようになると、相手戦闘機も高々度での迎撃能力が必要となるのは当然の成り行き。高速で強力な火力にプラスして、エンジンに優秀な排気タービンや過吸気装置等を付加し、与圧コピットなどパイロットの気圧対策も重要な要素となりました。攻める側一辺倒になった英米ではあまり需要が無くP-38やスピットファイアがサブタイプで対応したぐらいです。日・独軍は英米大型機による戦略爆撃に悩まされる事になるのですから、かなり重要度が高く数々の高々度迎撃機を設計開発するのですが終戦までに決定版と呼べるものはとうとう出来なかったのが現状です。まあ、実戦化されたもで強いて挙げるとすればMe262AとDo335ですかね。どちらも実戦配備が予定より遅れてしまってたいした戦火をあげれませんでした。 |
夜間戦闘機 |
夜間に作戦行動が取れる戦闘機です。この用途機には優秀な機上レーダーと通信が重要要素となります。夜間に敵地侵攻する用途機と夜間迎撃機がありますのが、夜間迎撃機は次箇条する事にして、夜間侵攻する任務の純然たる夜間戦闘機では、優秀な機体が存在していました。それは夜間戦闘機型のモスキート(NF
Mk.36やNF Mk.38)で味方夜間爆撃の護衛や誘導に充分な働きをした機体でした。あと米軍では、ライトニングのP-38M、ヘルキャットのF6F-3N・F6F-5N、コルセアのF4U-4Nが優秀な夜間戦闘機でしたがあまり活躍の場は無かったようです。 |
夜間迎撃機 |
上記と同じく夜間戦闘を行なう能力を持つのですが、迎撃任務を特化させて航続能力や高速能能力はあまり求められずに、強力な火力を要する武装が求められます。夜間迎撃となると味方基地レーダーから通信でおよその位置までエスコートを受けて、機上レーダーで敵夜間爆撃機を捕捉し迎撃する能力が必要です。視界が悪いのですから、接敵すると一撃で撃破する火力も必要なんです。成功例としてはドイツのHe291ウーフー。このウーフーについては、優れた能力を持ちながら実戦配備数が少なく、ちょっとしたミステリー的な逸話が残っていますので、また別の機会にコラム化したいと思っています。話は、夜間迎撃機に戻って、あと挙げるとすれば、実戦で活躍する場がなかったがP-61ブラックウィドウが能力的に合格点です。そうそう、日本にも夜間迎撃機なるものがありました。それは月光や極光。でも実戦化出来た形式では満足な夜間レーダーが機上に積めず送信側通信能力も不十分で、精神力でカバーしようとしましたが、たいした効果が発揮出来る訳がありませんでした。 |
艦上戦闘機 |
航空母艦で運用出来る能力を持った戦闘機です。離着艦能力が必ず必要ですし、一定の航続距離も重要です。また、格納時の工夫も必要なファクターです。戦間期で最優秀なのは前半はゼロ戦21型、後半はF6Fヘルキャットでしょう。英国機は航続力が悪くてだめでしたね。 |
水上戦闘機 |
海面に離着水出来る能力を持った戦闘機です。実際、この用途は日本海軍しか実用化されませんでした。日本海軍では、戦闘機としての運動能力はどうしても犠牲になるが、飛行場を要せずに戦闘機配備出来る利便性を重要と考え、戦間期に3機種ほどを実用化しました。中でも二式水上戦闘機(ゼロ戦の水上機型)が活躍しました。 |
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