以前のコラムで、ドイツ双発爆撃機を他国機と比べる話をしましたので、今回は英国の主要爆撃機を主として話を
|
|
1941年 |
1942年 |
1943年 |
1944年 |
1945年 |
合 計 |
双
発 |
ウェリントン |
15,553 |
14,621 |
6,474 |
|
|
36,648t |
モスキート |
- |
232 |
1,550 |
15,160 |
9,925 |
26,867t |
四
発 |
スターリング |
2,327 |
7,759 |
14,495 |
3,240 |
|
27,821t |
ハリファックス |
1,249 |
7,274 |
33,480 |
146,113 |
36,091 |
224,207t |
ランカスター |
- |
11,367 |
100,517 |
361,004 |
135,724 |
608,612t |
進めようと思います。右図は、英国主要爆撃機の爆弾投下量の比較図です。
私にも意外だったのが双発のビッカーズ・ウエリントンって初期2年間は主力として頑張っている事でした。モスキートやランカスターが就役して量産化してくるとやっと退役出来たっていう感じです。同じ双発爆撃機のブレニウムやホイットレー、ハンプデンはもっと旧式化が早く爆撃投下量が少ないので表に載せませんでした。
1943年になると、四発爆撃機が主役となってアブロ・ランカスターが10万トンを越える爆撃量を誇っています。二番手はハンドレページ・ハリファックスとなっています。ショート・スターリングは終戦前に旧式化で退役してます。
|
ウェリントンB.MkU |
モスキートB.Mk16 |
B-25Jミッチェル |
全 長 |
18.54m |
13.57m |
16.1m |
全 幅 |
26.26m |
16.52m |
20.6m |
乗 員 |
6名 |
2名 |
6名 |
最大離陸 |
13,400kg |
11,000kg |
19,000kg |
エンジン |
ハーキュリーズ11型 |
マリーン77型 |
Rサイクロン2600 |
出 力 |
1,500馬力×2 |
1,710馬力×2 |
1,700馬力×2 |
最高速度 |
410km/h |
668km/h |
438km/h |
上昇限度 |
5,790km |
11,000km |
7,500m |
航続距離 |
2,480km |
2,400km |
2,200km |
武装機銃 |
7.7mm×8 |
無し |
12.7mm×12 |
爆弾搭載 |
2,000kg |
1,814kg |
2,800kg |
総生産 |
11,464機 |
7,781機 |
9,550機 |
では、次に、ウェリントンとモスキートの性能緒元に比較です。同じ双発爆撃で米国のミッチェルも比較対象で表記しました。数値を見てみるとやはり、モスキートの性能が際立っています。モスキートの秀でた性能としては高速性能と高空上昇限度が優れている点で、高度1万mを越えると並みの戦闘機では満足に迎撃出来ませんし、爆弾搭載量もこのサイズではかなり優秀な数値となっており、さすがという感じです。速度と航続力は爆弾搭載量に反比例しますから、モスキートに関しては爆弾搭載量を抑えて高速を活かしたピンポイント攻撃を得意とします。ドイツ軍にとってかなり嫌な存在だったでしょう。ウェリントンはモスキートとは違って高空上限度が6,000mを越えてれない点がネックです。この高度だと高空性能の悪いフォッケウルフFw190Aでも全力で迎撃が出来る高度です。その点、米国のミッチェルは特に秀でた数値は見当たりませんが欠点となる数値もなく、持ち前の強武装と頑丈さがあるので頼りになる双発爆撃機です。高度7,000mを越えて飛ぶとフォッケウルフFw190はフラフラな状態でしか迎撃出来ません(メッサーショミットBf109はマシな迎撃が出来ますが)。しかしウェリントンって製造に手間のかかる大圏構造で11,464機も作っていてB-25ミッチェルより生産が多いのは驚きです。数を作って初期の爆撃任務を支えていたって事です。逆に言えば、他の双発爆撃機が頼りなかったのでしょう。
|
ハリファックスB.Mk3 |
ランカスターB.Mk3 |
B-17G |
全 長 |
21.82m |
20.98m |
22.66m |
全 幅 |
31.75m |
31.09m |
31.62m |
乗 員 |
7名 |
7名 |
9〜10名 |
最大離陸 |
24,675kg |
32,688kg |
29,710kg |
エンジン |
ハーキュリーズ6型 |
マリーン24型 |
Rサイクロン1820 |
出 力 |
1,680馬力×4 |
1,640馬力×4 |
1,200馬力×4 |
最高速度 |
454km/h |
462km/h |
462km/h |
上昇限度 |
7,315km |
7,468m |
10,850m |
航続距離 |
3,000km |
4,312km |
3,219km |
武装機銃 |
7.7mm×9 |
7.7mm×8 |
12.7mm×13 |
爆弾搭載 |
5,900kg 又は魚雷2 |
9,980kg |
7,983kg |
総生産 |
7,782機 |
7,337機 |
12,731機 |
では、次に四発爆撃機です。最初に表で表したとおり、アブロ・ランカスターが英国の四発爆撃機のエースでした。生産数はハンドレページ・ハリファックスと変わらない数ですが、はやり性能緒元からの数値でも、航続距離と爆弾搭載量にその性能差が表れていています。そうそう、この2機って型式によっては非常に外観が似ています。機首の形状などはむしろランカスターがハリファックスの真似をしたって感じです。
ところで英国の四発爆撃機は夜間爆撃を担当しました。その理由は昼間爆撃で多大な損害を出した事と、モスキートの夜間戦闘機・パスフェンダーの性能が良かったセイです。で、白昼のドイツ爆撃を担当したのが、米軍のB-17フライングフォートレス。
B-17フライングフォートレスは、1,200馬力のエンジンながら、高空上限が1万mを越えているのが一番の強みで強武装と頑丈さもあり編隊飛行によって強行爆撃が日中に出来たんですね。
それにしても、英米の名作四発爆撃機のランカスターとB-17はその設計で重視した性能の差がはっきり現れています。ランカスターは航続力と爆弾搭載量を重視し、B-17は世界最初の排気タービンを実用して高度飛行性能を重視した点です。ランカスターが白昼の編隊爆撃が出来なかった現実を見ると、どちらの設計がより秀でていたか判ります。しかも、米国はヨーロッパ戦線には配備しなかったB-29という、B-17より優れた戦略爆撃機を保有してましたからその軍事力はやはりすごいものです。 |